昼休み。いきなり紅薔薇様による校内放送招集がかかった。
ピィ〜ンポォ〜ンパァ〜ンポォ〜ン・・・・「集え!山百合の女猛者どもよっ!!」
トチ狂ってらっしゃる、紅薔薇様。



私が薔薇の館についた頃にはもうみんなが揃っていた。
「だめじゃない祐巳。先輩方よりも遅れてくるなんて」
「あんな放送コードギリギリのことがあったので新聞部がしつこくついてきやがりまして。まくのに時間がかかったんですよ」
私が席についたのを確認すると紅薔薇様がさっそく切り出した。
「今日みんなに集まってもらったのは他でもない」
各自に配られたプリントには紅薔薇様がパソコンでわざわざ作成したと思われる企画書らしきものが。
そこにはニュース記事の引用だと思われる
「マツケンサンバ、オリコンチャート17位」「マツケン紅白出場か」
という見出しが躍っている。
「お姉さまこれは・・・・・」
たまらずお姉さまがきりだす。いかにも不安そうな顔です。
紅薔薇様は満足気にうなづくとこう言い放った。
「『ヤマユリサンバU』CDが、発・売・なん・ですッ!!」
なんで最後だけアサヤン風なんだろう。






ヤマユリサンバ
〜明日に向かってオ・レ!〜






ワケがわからないのでみんなとりあえず黙りこくった。
妙な沈黙が薔薇の館を包む。包みまくる。そりゃあギョウザの皮のごとく。
そんな雰囲気をまるっきりシカトこきまくって紅薔薇様はアンニュイな表情で話し始めた。
「私・・・・ずっと山百合会がリリアン生徒にとって身近で親しい存在でいられるにはどうしたらいいか考えてたのよ。そしたらなんか今日フッと思いついちゃってね。___________________________そうよサンバよ、ってね。」
ってね。とか言われても。すごくいい顔で言いきったしこの人。
そのとき急に白薔薇様が黄薔薇様の輝かしい凸をどつきなさった。
あぁ凸が。黄薔薇の凸が。
ペチーーーーーーーーーーーーーーーーーーン。
気持ちのいい凸音が薔薇の館に響き渡る。
「あんたのせいでしょーーがこのでこちんがぁッッ!!!」
「私だってわざと蓉子の頭にボーリングの玉ぶつけたわけじゃないわよぉお___!」
なんでボーリングの玉なんかぶつけたんですか。
「今度の週末、山辺さんと一緒にボーリング行く約束してて・・・・薔薇の館で今日の朝練習してたのよ。一人でコバルト文庫とか少年マガジンとかピン代わりにして。そしたら蓉子が入ってきて・・・・」
どんなシチュエーションだよ。
「・・・・おつむにボーリングの玉が当たった衝撃でネジが緩んでしまったというわけですね。」
つぶやく志摩子さん。ねぇ何気にひどくないそれ。
「私は正気よ志摩子。むしろこんなナイスアイディーアが浮かんでくるなんて。今日はずいぶんと頭がさえてるみたいね」
ナイスアイディーア、とか言ってる時点でおかしいですよ紅薔薇様。
「とにかく、『ヤマユリサンバU』は発売します。発売させます。エイベックスから」
ジェネオンエンタテイメントじゃないんだね。
「歌詞も考えてきたのよ。見て頂戴」






ヤマユリサンバII
作詞:YOKO  作曲:宮川 彬良



1. 叩けボンゴ 響けサンバ
踊れ南のリリアンガールズ
誰も彼も 浮かれ騒ぎ
光る汗がはじけとぶ


熱い風に 体あずけ
心ゆくまで踊れば
マリアも歌うよ 愛のサンバを
胸にあふれるこのリズム


※ オーレオレ ヤマユリサンバ
オーレオレ ヤマユリサンバ
あぁ 恋せよ アミーゴ
踊ろう セニョリータ
眠りさえ忘れて 踊り明かそう
サンバ ビバ サンバ
リ・リ・ア・ン サンバ オレ!


2. 叩けボンゴ 響けサンバ
踊れ南のスール達
夢のように 時は過ぎて
はずむ南の恋の夜


灼けたロザリオ 肩を抱いて
愛をささやき踊れば
白い薔薇の館に 恋も輝き
風に誘われ歌い出す


※くりかえし

オレ!






「どう、かな。」
いや「かな。」いわれても。
JASRACに訴えられそうなくらいパクってますけどいいんですか。
「お姉さま『U』って何なのですか!『T』もでてやしないのに!!」
お姉さまそこじゃないよつっこむところ。
「大丈夫、ちゃんと『ヤマユリサンバT』も用意してきました。」
マジですか______________





ヤマユリサンバI 
作詞:YOKO  作曲:京 健輔


〜コーラス〜
1. サンバ ルナロッサ サンバ
サンバ コモエスタ サンバ
サンバ セニョリータ サンバ
サンバ デラノチェ サンバ サンバ


あつく あつく燃える恋は
今日も あしたもつづく ア〜ア!
胸を こがす 炎
赤い 赤い月がのぼる


※ サンバ ルナロッサ (リリアン サンバ)
サンバ コモエスタ (ヤマユリ サンバ)
サンバ セニョリータ サンバ
サンバ ヤマユリ ビバ (サンバ)


〜コーラス〜

2. サンバ ルナロッサ サンバ
サンバ コモエスタ サンバ
サンバ セニョリータ サンバ
サンバ デラノチェ サンバ サンバ


みんな みんなおいで踊ろう
夜も昼間もつづく ア〜ア!
ひとみ うるむ 炎
赤い 赤い月の下で


※くりかえし

〜コーラス〜

サンバ ヤマユリ ビバ サンバ! サンバ!






「どう、かな。」
また「かな。」いいよったでコイツ。
最後二度もサンバ!サンバ!いうてるでこの歌。
「狙うはオリコン第一週10位以内。これには小笠原グループの全面的バックアップが不可欠です。協力しなさい祥子」
「お姉さまの意地悪!」
こんな二人が私のお姉さま方ですが何か。
そのとき紅薔薇様の背後に忍び寄った黒い影が。
「あの・・・・ごめんなさい!」
ガッツーン。ボーリングボウルが紅薔薇様の頭を直撃した。
即効倒れる紅薔薇様。
それを受け止めたのは令様。
5キロもあるボーリング玉を放り投げたのは心臓を去年手術するまで体育さえろくに出れなかった由乃さんだ。
サイボーグ。
「すいませんお姉さまのせいで・・・・」
涙を流す令様。その前に生きてますか紅薔薇様。



保健室で目を覚ました紅薔薇様は普通に戻っていた。
自分の作った企画書を見て「何これ」といってゲラゲラ笑っていたから正気に戻ったんだろう。
みんなはほっと胸をなでおろした。



その日の放課後。
「・・・・・・・・・・大変だわ」
お姉さまが薔薇の館にやってくるなり顔を真っ青にしてこう告げた。
「お姉さま、あれから半日近く笑いが止まってないんですって」
志摩子さんがうふふと笑ってつぶやいた。
「あら、また新たなネジがゆるんでしまったみたいですね」



終われ。
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